最近交通事故の悪者筆頭に挙げられるのが自転車であります
私個人も自転車愛好者でありますので、自転車乗りが全員マナーが良いか?と問われれば眉を潜めたくなるような自転車乗りが多いのも事実ですが、そもそも自転車乗りと大まかに区切られること自体が不愉快でもあります
子供から老人まで、補助輪がついた自転車や子供を乗せられる自転車や我々の乗るようなロードレーサーまで、自転車といっても様々で、その全てに一律の対応を期待する方がおかしいと言うモノ
今回は一般論ではなく具体的に語ってみたいと思います

交通マナーなのかインフラが足りないのか
自転車事故を語る上で必ず出てくるのが自転車はどこを走るべきなのかという議論
これがまったくもって噛みあっておらず、感情論に左右されているだけなのがまずもって問題の根底にあるわけです
道路交通法上、自転車は軽車両として車道を走らねばならないのですが、自転車走行可という場合は歩道も走っていいのです、そしてこの自転車走行可であるのかどうか非常に判別し辛いのが現状で、世の中の歩道はすべからく自転車走行可であるという事実を認識しなければなりません
ここを歩行者もドライバーも認識をしなきゃいけないわけですね
さらには12歳以下の子供や高齢者、障害者である場合は無条件に歩道走行可ということも忘れちゃいけませんが、子供を乗せたママチャリという規定がないのもなんともかんとも
というか、自転車乗りだって降りれば歩行者ですし、車に乗ればドライバーです、敵対する関係ではないことをまず理解いただかねばなりません
その上で

これは名古屋中心部の歩道の写真です、隣は広小路通という名古屋の東西を繋ぐ幹線道路、そして歩道はこのように広く、歩行者と自転車と分けてあります
しかし問題になるのは歩行者も自転車も往来するんです、つまり一方行ではなく双方向で交通が起こっているんです

自転車は左側通行が原則だ!

それは当然ですが、大きな道路であれば信号でもない限り渡れません
すると目的地近くの信号で渡って目的地に行くまでは自転車を降りて歩行者として通るのがただしい形なのかも知れませんが、そんなことします??
都市部では自宅から駅、駅から目的地までの移動手段として自転車を使うことが多いでしょうが、その駅と目的地が両方とも右側だった場合、わざわざ反対側に一度渡って、目的地付近でまた渡り直すなんてことしますか?
名古屋市民だとわかりやすいのが、大曽根駅と三菱です、まああそこは距離が短いので自転車で行く人はいないかも知れませんが
駅を降りてそのまままっすぐ行けば会社の正門となればわざわざ左側に渡りますか?ということですね
これは自転車が危ないと言われている根拠の1つですが、実際にこれが危険であるかどうかは後ほどに譲ります


見ての通り、生活道路と呼ばれるところです
写真中に問題点をいろいろ書いてみました
まず歩道に十分な幅がないのです、写真で見るとわかりにくいですが歩行者一人歩いているとここはすれ違うことすらできない場所です
かといって車道は見ての通り、白線の内側はなぜだか傾斜がついていて自転車が安全に走行できるようにはなっておりません
自転車は歩道を走っていて、前方に歩行者を見つけたら車道へと車線を変更するわけです
さらに歩行者との危険が去ったら歩道に戻るわけです
これらを繰り返すことにより、実はかなり危険な運転になってしまうというのが自転車事故の実態ではないでしょうか?

実際にデータなくして物事を語っても無意味です
簡単な検索キーワードを入れていただくだけで結構なんです
Googleさんに「自転車事故 統計」などで検索をしてみてください
自転車事故のほとんどは対自動車で起こっており、そのうち出会い頭が半分、右左折などで3割程度を占めております
信号無視、一時停止無視、なんかよりもっともっと多くの比率で安全確認無視が原因となっております
駐車違反の車を避けようとして車道に大きく張り出して事故、というケースもあるやも知れませんが、ドライバーが駐車違反の車両と自転車を認識できていれば確率はそれほど高いものかどうか
それよりも歩道の歩行者を避けようと車道に飛び出してきた自転車とならばありえないか?
ということですね

ちなみに冒頭で語りました「危ないな」という感情論である歩行者との事故は全体の1.8%しかありません
実はそんな程度なんです
実際に危険なのは歩道から車道、車道から歩道とコロコロ車線を変えて走らざるを得ないこのインフラにあるわけです
たとえ上の写真のような道路を数キロに渡って整備したところで、数キロ先になれば下の写真のような光景になってしまうわけで、これはインフラ整備の問題ではないかと思うわけです

そこで自転車走行レーンのお話

これも中途半端にやれば結局自転車走行レーンのない道路に差し掛かった時に結局歩道か車道を選択しなきゃいけなくなります
自転車は車道を走れ!と強制しようとすると、前述のように特例のない子供を乗せたママチャリはどこを走るの??ってことにつながってしまい混乱になります
だからこそわかりやすくでいいと思うです

・自転車は車道を走る時は常に左側走行(これは完全に徹底すること!)
・歩道を走るなら速度を落としてずっと歩道で、車道を走るならずっと車道で、コロコロ車線を変えない

インフラを整えるにしても予算の都合や時間がかかってしまいます
自転車乗りに免許?はぁ?そんなのやめとくれ!
安全指導と称して実態とかけ離れた道路交通法の講習やるくらいならこの二点を徹底的に指導していただきたいと思うのです

それと別に、あまりにも無灯火の自転車が多すぎます
歩道を走るにしても、車道を走るにしても、灯りは自分と相手の身を守る最低限のサインです
道路端の照明を確保することを行政側でしっかりとやっていただくと同時に、自転車への反射板ではなく前後にライトを付けることを義務付けが効果的かと思います
車道を左側通行した際に、ドライバーの目線からして前方だけのライトでは視認性が悪いのです
後方には反射板がありますが、あんなの飾りです、エライ人にはそれがわからんのです
後方に向けてもしっかりとライトで自己主張してもらうべきです!
とはいっても、だれも取り締まれないので義務付けでなくても指導でも結構ですけどね

自転車行政と言えばここ数年前まで駅前の放置自転車をどうするかばかりが問われて参りました
それはおかしい!と自転車野郎達が声を上げて、さらにツーキニスト疋田さんという方がいろいろと国関係の委員会などで発言をしていただいたおかげでそれなりに回ってきた感があるわけですが、やっとこさここまでやって参りました
変な規制は要りません、かといって自転車が、歩行者が、自動車がという感情論的な言い争いも必要ありません
自転車は車道を走るなら左側をずっと走る、歩道を走るならゆっくりと歩道をずっと走る、それだけで事故の低減に繋がるわけですから、事故に会って一番損をするのは自転車乗りですし、そういう意味で自転車乗りにこれを徹底しましょう!
予算もいらなきゃ何もいらない
道路端の照明や多少の自転車が走行しやすい道路整備を淡々としていただくだけで自転車事故は減るはずです

最後に自転車乗りとして
自転車乗りであってもドライバーとして日常的に自動車を運転していると、例えば駐車違反車両を視認した段階ですぐに後ろを振り向き、ドライバーに対して「車道にでるよ」とハンドサインを送ります
こういうコミュニケーションで交通は成り立っているわけです
杓子定規にルールを設定し、だれもが使いにくい道路にしてしまうのではなく、我々利用者が円滑にコミュニケーションを取って安全に利用することこそが必要なのではないでしょうか?
歩行者うざい!自転車歩道走れ!なんていうドライバーさんもいらっしゃいます、猛スピードで歩道を走ってて怖いわという歩行者の方もいらっしゃいます
自転車乗りとして、それらの声に真摯に耳を傾け、悪いのはだれだ?ではなく自分たちで改善しようという気持ちが必要です
歩行者も自転車も自動車も、全てが道路交通法で定められた道路の正当なる利用者なのですから、ルールを明確化しないとその施設が使えない、では立派な大人のすることではないでしょう?
国が何をしてくれるかではなく、国に何をしてあげれるのかを考えるのが我々先進国の国民たるモノの存在意義だと思います