劇場版マクロスフロンティア サヨナラノツバサ を見てきた(ネタバレ注意)

2018年4月18日

かつて、マクロスフロンティア〜イツワリノウタヒメ〜を観終わってからこんなエントリーをしていたのを思い出した
マクロスフロンティア劇場版完結編の予想をしてみよう
あれから1年ちょっとが過ぎ、やっとこさ念願のマクロスフロンティア〜サヨナラノツバサ〜が公開されたのだ
冒頭からシェリルのライブシーン、そしてランカのライブシーンもありとまさに歌こそマクロス!を象徴する構成、さらにはバジュラとの戦闘もあり、さらにさらにアルトのローゼンメイデンみたいなコスプレといいプリズンブレイクオマージュといい、なんとも盛りだくさん

有名作品のオマージュてんこ盛りの中で、過去のマクロス作品オマージュ、さらにはテレビ版マクロスフロンティアをもオマージュして再構成された作品であり、既存のファンは楽しめる
だが、これを初見だった人は結局シェリルの病気ってなんだ??みたいに思えちゃうのかな? まあ病気の内容っていうよりもほっといてももうすぐ死ぬ的な意味が伝わっていればいいんだけどね

大まかな流れは予想通りといいたいが、さすがプロの仕事
それぞれTV版とは違う役割を与えられ再構成されていながらもキャラを掘り下げるという見事な出来栄えであると思う
そもそもランカ・リーはリン・ミンメイポジションであったはずだし、さらにはTV版でもマオ・ノーム役をやるなど、歴代ヒロインの中でも振られ役でなければならないのにTV版ではそういう小悪魔的な所も、ヒロイン的な扱いも、ふられることもなく終わり、ただバジュラに攫われて救われてというわけのわからん行動をする引っ込み思案な女の子という印象だけで終わった
母親がV型感染症に感染していなかったらただの小娘扱いってことだったけど、今回の映画では活き活きとアルトとの関係を構築していて、さらには最後、TV版のシェリルと交代する形でバジュラ母星アタックでの歌姫を務めたわけだ、そこでついにアルト君好き!という言葉を口にするのだが、その答えは怖くて聞けないという、そこまでシェリルと交代したわけだな
シェリルといえば、スパイ容疑炸裂して遂に出た、三島から「イツワリノウタヒメ」という称号までいただいて刑務所へ
やっぱりスパイだったかと落ち込むアルト、あれはやっぱり自分に近付くための演技だったのか?なんて童貞らしい悩み満載だったろう、おれはお前の容姿と立場ならしっかりやってるけどなw
一度は絶望しかけたけど、ランカが面会にきて「アルトが好き」と宣言、こうすることでアルトへの思いの対立軸をしっかりとさせながらも、ランカはシェリルに対する憧れや友情を確認し、そしてプリズンブレイクする時にはしっかりとアルトも活躍するわけだ

ミシェルのバサラコスに萌えたのはナイショ

救出されたのもつかの間、ブレラお兄ちゃん(イツワリモード)に襲撃され、オズマ義兄ちゃんとの兄上対決、バジュラの攻撃に晒されながら開いた穴に吸い込まれていったのはミシェルではなくなんとなんとランカを庇ったシェリルだった!!
そこでシェリル退場か?!なんて、そんな甘いことはあるまい 最後に二人で歌わないとCD売れないもんね♪
そこから一人ヒロインの状態が続くランカは前述の通り、宇宙の見える場所で愛覚えてますかからの流れだけど告白タイム、でも答えは聞いたら歌えなくなるからって
必ず帰ってきてねっていうTV版シェリルの役割を引き受ける
一人ヒロインに歌わせながら、フォールドクォーツの効果も歌の効果も尺の問題であっさり解決しているのでアルトはなるべく前線にランカの歌を届けようと暴れまくるが全然効かない
アルトはバジュラと同期、なんとまあそんな芸当ができるスーパー主人公だったとはw
感受性が強くてフォールドクォーツを身につけただけでイツワリノウタヒメでシェリルと同期したのは記憶に新しいが、こいつは劇場版ではその感受性を全開に機能させ、スーパーパワーを炸裂させる

ってか本編の流れを追えてないかw

えーっと、三島がギャラクシーの陰謀を察知して未遂に終わらせさらに計画を奪いとり一気にバジュラ母星に乗り込んで銀河を支配しようと思ったが、ブレラ(イツワリモード)によってあっさり全員フロンティア首脳陣虐殺、ギャラクシー首脳陣復活で船団はあっさりバジュラ母星に降りていく、その母星でバトルフロンティアはバジュラ女王と合体という流れです
フロンティアはインプラントをバジュラに埋め込み操ることのできる機械を創りだしていて、その機械を破壊しにアルトがアイランドワンへと降り立つ
ついでに、クォーターはなんと艦長の命令によりサーフィンします、艦長それはエウレカセブンです。。。
アイランドワンに降り立つとアルトは思いがけない反応にびっくりするわけだ、ここで倒れていたシェリルと同期し、子供の頃の記憶が蘇る
天才子役としてギャラクシー講演をして、そしてその時花束を渡すチビシェリル、隣にはグレイス
目を覚ましたシェリルはオズマと一緒にいて、なんとまあアイ君が助けてくれたそうだ、細かいことはおいておこう、ここはもうご都合主義で構わないw

我らがシェリルを応援したのは三島に捕まえられ、データを取られまくっていたグレイス
もうグレイスはギャラクシーメンバーとしてではなく、歌姫を育てた母性としてのグレイスの執念でシェリルを歌わせるために最後のセッティングをしたわけだ
三島との会話の中でシェリルが牢屋の中で歌詞を書いていると聞いてうれしそうなグレイス、ちょっと泣けたぜ
歌うことを決意したシェリルが最初に口にしたフレーズはノーザンクロスの一節

だれか空虚の輪郭をそっと撫でてくれないか

ぞくっとしたね、冒頭の予想でもシェリルが復活するときはノーザンクロスだろうと思っていたが、まさにこれはぞくっとするよ
ランカと合流し、アルトは敬礼をして飛び出すもブレラ(イツワリモード)に執拗に追い回される
これはマクロスプラスのイサムとガルドのオマージュ、ここで昼飯の奢りあいなどの掛け合いがあればいいんだが、アルトがブレラもインプラントで抑えつけられていることを察してしまうわけだ
この能力、ガンダムで有効活用されていたニュータイプってヤツだよね、こういうなんでもパクる姿勢って好きだよw
TV版では偶然衝撃で開放されたブレラだが、今回は自分の意思でインプラントを外す、こういう何気ない違いだけどキャラクタの意思を感じる演出変更って大好きだよ
アルトはなんとバジュラと同期するんだ、もうここまできたらキラ・ヤマトも刹那・F・セイエイも叶わないスーパー主人公になってしまっている
二人の歌姫がデュエットする中、なんとバトルフロンティアと合体した女王に踊らせるという芸当を披露するw
そしてなんと刹那・F・セイエイばりにバジュラと分かり合うために生身で女王の手のひらに乗るわけだ
援軍として間に合った統合作戦本部やらSMS本体のマクロスさんたちが一斉に主砲発射しようとしている時にアルトは金色に輝いていた、刹那が最後メタル刹那になったことを思えば銀より金がいいわなって思える(意味不明)

さて、ここで最後の最後なわけだ
河森監督は今回は三角関係にきっちり蹴りを付けると宣言していた
マクロスファンであればランカ・リーのポジションは理解していたはずだ、リン・ミンメイでありマオ・ノームなのだ
だがしかし、その後アルトとシェリルが幸せに暮らしましたということもマクロスとしてしっくりこないんだよね
そもそもTV版と違ってシェリルの病気は治っていないからこの戦闘が終われば燃え尽きて死んでしまってもおかしくないわけだが、しかしそういう予想可能なオチはつけないだろうと思ってもいる
「ランカ、ありがとう。でもお前の気持ちには答えられない。」
ちょw シェリルと同期するまで忘れてたような記憶に左右されるな色男w お前が飛ぶ理由は、シェリルが歌う理由と繋がっていたっていうだけの理由かよw
「シェリル、おれはお前のことをあい・・・」
で一斉射撃開始、この後爆発シーンで終わるんだけど、これはまあマクロスゼロの鳥の人オマージュなんでアルトはそのままきっとバジュラ女王とどっかにフォールドしちゃったっていうオチなんだろうな
「アルト!」
で崩れ去り、そのまま昏睡状態に陥るシェリル、ランカの落ち着いた声でその後の状況が淡々と説明され、エンドロール

途中で曲が変わり、明らかにシェリルの復帰ライブの始まり、しかし映像はなし
これは愛覚えてますかの時の間に合わなかったリン・ミンメイの天使の絵の具エンドのオマージュか?
ってことはDVDなりブルーレイになるときにシェリル復活ライブの映像が特典映像になるわけですね わかります

さて、総論から言いますと、なかなかに難しい再構成を見事にやり遂げております
本編の趣旨は変えず、しかし役割を変えたりすることで端的にそれらを描きつつ最後のテンポの良さは維持し、さらにTV版では付けなかったオチをはっきり付けて三角関係が永遠に論争になることもなくしたという本当の意味での完結編になったわけですね
ここ3年の間、ずっとマクロスフロンティアにとりつかれていたのでやっと完結したという安堵の気持ちになったと共に、ちょっと切ない終わり方に異論もあるのかと思えもしますが、見事に終わらせたと評価すべきでしょう
ただ個人的に、アルトとシェリルの決定的な結びつきが子供の頃にお互いの目的をはっきり確認しあっていたからという安易な方向には持って行って欲しくなかったかなって思うわけだ
イツワリノウタヒメでは相当にツンデレキャラに格下げされていたシェリルも、今回はシェリルらしい、芯の強さがよく出ていてよかったと思う反面、結局初恋最高で終わりかよw みたいな部分もちょっとは残っちゃうんですよね

本当は物語全般を書きたかったけど、時間と文章の都合により個人的に気になっていた三角関係部分を中心に書いてみたけど、本当に至る所におもろい仕掛けのしてある作品だなって思うと共に、元々描きたかったであろう役割分担をきっちりとこなせたのではないか?という意味でうまくまとまった作品になっているのかと思います
映画を見て???って思った方は、TV版や小説版などを見ることをオススメしたいわけで
作品は生きている、小説版→TV版と来てうまく描けなかったことを大胆に再構成しなおして描いた劇場版は本当に監督のやりたかった作品になっているのではなかなって思うわけです
そして最後は泣けた、ランカもTV版の甘ったれではなく自分の意思で歌うし戦闘中でもひるまず歌うし、戦後辛い中でもしっかり生きている、シェリルは後半まさにシェリル・ノームらしい活躍だし、TV版では消えていて主人公だということさえ忘れ去られていたアルトはちゃんと主人公らしい役回りをしたわけだ
他の登場人物もぞれぞれに役割を変えられながらもいい味だしたと思うよ、個人的にはグレイスに泣けたかな

またじっくりと見てみたいと思いますが、スケジュール的にそれが許されるのかどうか
その時にはもうちょっと落ち着いて全体を評価するようにしたいと思います

ってかまてよ、アルトってじゃあ結局あんだけの美少年設定なのに童貞のまま消えてしまったってのか??