重戦機エルガイムを久しぶりに見てみた

歯の治療などで少々動きの取れない日曜日と月曜日という連休を過ごすことになりまして
こういう時は長編アニメでも見ますか!と思ったんだが、最近の作品はまったくわからんのでかつてワクワクしながら見ていた重戦機エルガイムを見直すことにした

この作品の時代としてはダンバインの後、Zガンダムの前という時間軸で、同時代ちょっと前には個人的に大好きだった太陽の牙ダグラムがやっていたわけで、ロボットアニメ全盛期と言ってもいい時代の作品でありまして
また、ダンバインやガンダムといった富野監督が力を入れている作品の狭間でもあり、当時若手デザイナー永野護ワールドが炸裂する余地があったことでも意義の大きな作品だったわけで
その後、永野護氏はZガンダム等のデザインでうだうだ言われて自分の世界に引きこもっちゃいますがw
まあとりあえず見なおしてみる

そもそもおれは富野作品によって育てられた世代であり、またその後の永野護氏のファイブスター物語の愛読者でもありますので、この作品の見方がそもそも違うわけです
ガンダム的な流れを永野ワールドで展開しているような、本来ならもっと炸裂してもいい部分がなかなか炸裂しきれてないなという印象
前半はずっとしつこいくらいに盗賊に襲われるだけの物語、反乱軍に参加してみてもボスがいまいちで頑固な主人公が衝突ばかりするのだが結局頼られる みたいな
そもそもヘビーメタルにだれでも搭乗できるのになんであんなにダバが頼りにされているのかという描写に本当に乏しい
「僕が一番エルガイムを上手に操縦できるんだ!」
的なエピソードがないんだよな
そして無理やりの三角関係もどうだか、アムとレッシーがダバを好きになるというエピソードがただの一目惚れ、どちらも敵対勢力から鞍替えしての嫁入り(?)にしては動機が薄いような
富野監督とかなら「女ってそういうもんです」の一言で終わりそうだけどさ

中盤くらいから、ダバは実はカモン家の末裔で みたいな展開にやっと物語が進んできた感じがするわけです
ってか結局王様系なのかよ! みたいな
後に出るファイブスター物語では理屈っぽい永野護氏がロボットに乗るためには特殊能力が必要だとか、そういう家系は貴族や王家に多いだとかこじつけしてくれてやっとこさ納得いける世界観になるんだけど、こんだけおちゃらけやってきていきなりこの人王族の末裔ですなんて ねえ
しかもさらに義妹なる存在が出てきてしかも許嫁でした! みたいな
えー、じゃあアムもレッシーも母体裏切って飛び出してきてるのに、最初からそう言ってやれよ! ってつくづくツッコみまくる
でもって、優柔不断な田舎者がやっとこさ立ち上がる日が来るのだが、大人の謀略にただただ力押しの主人公とその仲間、バカじゃないか?と思えるくらいにバカです
微妙な勢力図と謀略はいいんだけど、きっとこれ世界観わかってない人だとわけわからんよな とかいろいろ説明不足感があるし、そもそも13人衆ってなんだったのかもよくわからんまま力押しで最終回まで押し切った若者の勝ち みたいな

爽快感がないなw

最終回は今でも論議を呼ぶ終わり方
実放送が終わった時も「ダバはちゃんと責任を持って統治すべきだ!」みたいなのを真面目に語っている人が多かった作品だけど、大人になってから見てみるとそもそもポセイダルは両親をヤーマンに殺されており、その復讐をしていて最後の生き残りとされていたオリビーを使ってチクチクしていたわけで
結果もう一人の生き残りであるダバが廃人と化したオリビーを一生面倒みなきゃいけないという業を背負って人生をふいにするわけで
そういうセリフを他の人達に言わせながらの後味の悪い最後となる

で、総評として
ガンダムらしい物語の根底が見て取れていて、まあ黄金パターンはそれほど変わるわけじゃないのである意味王道路線というべきなんだろうけど、なぜだかエルガイムを見ていて∀ガンダムを思い出すこともしばしば
永野護氏らしい場面がちらほらあるが、きっとこのちらほらくらいが丁度いいんだろう、永野護氏が物語構成をしたりするととてもじゃないがキャラが動くというより説明くさくなりすぎる部分が多いからね、そういう意味でも本来なら黄金パターンの筋に新進気鋭の若手デザイナーの世界観が乗っかって面白くなる! はずだったんだろうけどなぁ
なんだろうね、嫌いじゃないけど面白くないというこの微妙なバランス
まあでもそれがエルガイムなのかも知れない

この作品を見てフーンと思って終わらずに、是非ともその後の永野護氏が力入れすぎるほど入れて結局完結どころか連載もろくにしてないファイブスター物語という漫画を読むといい、そこで初めてこの世界観の面白さがわかるんだろうと思うわけです