はやぶさ/HAYABUSA を見て

今年7月、的川博士の講演を聞いてはやぶさに感動はしたものの、映画としてはどうなんだ?と懐疑的なおれは懐疑的なままに映画館へと足を運んだ
物語は竹内結子扮する宇宙オタクかと思ったら意外と高学歴な女性が主人公で進んでいくのだが、この部分が尺を押して正直邪魔だろうって思う
こんな擬似主人公建てなくても十分にはやぶさ物語は感動的なのになんでこんなの入れたんだ?

基本的にはやぶさが遭遇した困難と竹内結子が扮する主人公の成長物語がリンクして進められるのだが、残念ながらはやぶさの方がおざなりになってしまってちょっと残念ではある
科学者見習いとして出すくらいならいっそ誰かを女性役にしてしまって現役科学者として出すくらいのフィクションでやらかして欲しかったものだ
しかも最後の自信を持った科学者になるまでの間、ずっと対人恐怖症みたいなオタクっぽい演技がどうしても竹内結子の魅力を引き出してないんだよな
おれの大好きな女優なだけにもうちょっと役どころを考えていただきたかったと思う

はやぶさはオマケ扱いになってしまっているのだが、それでもやはり泣けることに違いはない
できればプロジェクトX風に硬派なドキュメンタリー映画の方が良かったんじゃないか?とか、官僚たちの夏みたいな汗臭いドラマにした方がよかったと思うんだけど、足掛け7年を2時間20分で表現するのは難しいんだろうね
だからこそ余計に架空の人物の成長物語部分はカットして欲しかったんだけどなぁ

見所は高嶋政宏、山本耕史、鶴見辰吾の熱い演技だが、しかし高嶋政宏は早々に退場しちゃうんだな
佐野史郎と西田敏行に救われた感のある映画でもあるのだが、つまりは科学者陣だけで十分なドラマに仕上がっていたとも言える
だからこそおれの竹内結子を無駄に消費するんじゃないよって思ったり思わなかったり
結局竹内結子の役の人は博士号を取るための論文よりもはやぶさ君日記を書いて博士号を逃すアホな子みたいにしか見えないからとても残念なのです
誰得かわからないような映画にしないで、もっと硬派にもっと深く人間ドラマを掘り下げた方が感動が大きかったかと思います

また、物語最後には各国の協力がありとさらりと流してますが、実際にはかなりお世話になっているので日本バンザイ!的な物語にせず、もっと世界よ(とくにNASA)ありがとうっていうメッセージも入れておいたほうがよかったんじゃないかなって思うんだ
日本の科学者達が発起し、動かしたプロジェクトであることを誇りに思うようなストーリーに仕上げて、さらに世界に対しても協力ありがとうというメッセージ性を持って再構成してもらえれば海外公演(どうせだれもみないんだろうけどw)してももうちょっと上映してくれたかも知れないね
って、これで一気に日本で宇宙ブームを巻き起こしたい文部科学省が許してくれないのかな?

とりあえずはやぶさモノ第一弾として、の感想としてはかなり辛口になっておりますが
科学者になりたいと思っている子が見て感情移入しやすい主人公なんて設定は必要ありません
興味のある子供は難しい話だろうがなんだろうが、一生懸命働いている大人に勝手に憧れてくれるのですから
こういうアホみたいな物語を作っていないで、ちゃんとした大人の映画にしてください
ちなみに、一応こんだけ文句は書いてますが泣けますので同時期に上映されている邦画の中ではこれをおすすめいたします