ワールドカップロシア大会日本代表お疲れ様でした
そもそもなんでもおれの気になることを書いているブログですが
4年に1度、やっぱりこの時期はワールドカップの総括なんて書いているわけで
と言いますか、今朝ブラジルがベルギーに敗れたばかりでワールドカップ自体はまだ継続中なんですけどね
日本代表についてはいろいろとあると思うのでまとめておきます
このブログですと南ア大会観戦くらいからの記事が残っているかと思います
監督というのは常にAプランとBプランを用意しているわけですが、仮に攻撃的オプションをAプラン、守備的オプションをBプランとした場合
南ア大会はAプランをメインで行こうと直前の親善試合まで粘ってみたものの形にならずに本番はBプランで押し切って決勝トーナメント進出を決めた大会でした
本田のワントップについてはおそらくこのブログでもいろいろ書いているでしょうが、付け焼き刃ワントップでもなんとかなったのは本田の素地の良さと運があったと思います
結果としてはパラグアイ戦で得点が出来ず、後半途中から本来の形であっただろうAプランへと切り替えますが、やはり直前の親善試合まで結果のでなかった布陣なだけに得点できずPK戦で敗れて終わりました
そもそもオシムが日本式サッカーの基盤を作ろうと立ち上げたチームでしたがオシムの体調不良にて岡田監督が緊急登板となった大会でしたが
本来やるべきであった姿ではない形で戦って、それなりの結果を出したけれどモヤモヤが残ったのか、ここで「おれ達のサッカー」神話ができてしまうのです
ザッケーローニ監督に代わり、前からのプレスとショートカウンターというチームを作ろうとするわけですが、アジア予選では事情が違うんです
相手が引きこもってしまうのでそもそもショートカウンターが決まらないんです
そこで両サイドバック含めて前がかりになりながらショートパスを素早く回して相手を崩す、いわゆるパスサッカーでこじ開ける戦術で結果を出していきます
次第にこの攻撃的なサッカーが、守備的サッカー否定の「おれ達のサッカー」概念とマッチしてしまった感がありまして、でもアジア予選での戦い方はあまり組織的ではないんです
なぜなら組織的に守る相手にお約束事の攻めでは通用しないので、選手個人のインスピレーションと連携で崩さざるを得ないわけで
ある意味攻守共に自由なサッカーといえばそうなんでしょうが、特に守備は問題となりまして、攻撃力はあるが守備が弱い日本というイメージはこの頃から出来上がってきます
もう一度振り返りますが、南ア大会の時は守備的に戦っておりますので、引きこもってカウンターなんて日本にはできない、なんてことはないんですよ
ブラジル大会での惨敗はここでもおそらく書いてます
個人的にはものすごく共感できて理解もできるんです
ワールドカップの舞台はどこも守備から入ります、そうアジア予選のような雰囲気を感じてしまったんだと思います
なので同様に両サイドバックを高く上げてのパスサッカーを展開しようとしたんですが、世界レベルの真剣勝負の場では通用しなかったのです
面白いように失点し、そして惨敗をしたのです
でもこれはこれで良かったと思うんです
南ア大会で残ったモヤモヤは一切なく、単純に「おれ達のサッカー」が世界では通用しないという結論が出たのですから
この時いろいろ言われておりましたが、「個の力」が足らないと各選手が口々に言っていたのを覚えていますか?
「個の力」を前面に押しだすあまり、オシムが鍛え上げた組織サッカーを放棄していたんです、組織的な攻め、組織的な守り、これらが高度に連携して初めて日本人の特徴が活きると言っていたのに、日本人の特徴ではないところで勝負を仕掛けていたんです
これで結果が出ればよかったんでしょうが、出なかったので仕方なく組織サッカーへと逆戻りとなるわけです
ブラジル大会でもメキシコは素晴らしく、そしてベスト16でやはり敗退してしまうのですが、体格も似通ったメキシコサッカーに魅力を覚えた方は多いかと思います
おれもそのように記憶しておりますし、ここにも書いていたと思います
もう一度ビジョンの再設定が必要になりまして、目指せメキシコとなって、アギーレ監督が招聘されました
これについてはおれは非常に良かったと思っていたのですが、アギーレ監督が八百長疑惑で解任されてしまい、突然協会は目指せメキシコはどこへやら、勝負に強いとハリルホジッチ監督を招聘
オシム以来の旧ユーゴスラビア系の超組織サッカーに戻すわけです
ハリルホジッチ監督の評価についてはいろいろあるでしょう
我がグランパスエイトも唯一の優勝をした時の監督がストイコビッチ監督ですが、結果は出すが面白くないサッカーと一部サポーターからは批判的な意見が多かったように思います
フィジカルやらが合わないと批判する人も多くいますが、個人的には日本人のサッカー観に合わないので観ていて楽しくないってのが正直なところでしょう
おれが落合監督以降の中日ドラゴンズを観に行かないのと同じです、勝てても面白くないから観ることはしないってヤツです
これも興行なので仕方ないという話でもあるわけですが
とはいえハリルホジッチ監督は着実に結果を出して、アジア予選を無事突破
あと本番まで2ヶ月となった時に突然解任をされてしまうんです
コミュニケーション不足とかいう話ですが、これには実は猛反対でして
おそらくハリルホジッチはこの時点でワールドカップモードのチームの構築をするためにいろんな選手を試していた時期だったはずなんです
怪我をしていた岡崎、香川はともかく、計算できている本田を呼ぶくらいなら本田の後継者を育てるべく競争意識を高めていた時期だと思います、おそらく長谷部の後壁者も作らねばならなかったのでいろいろな選手を登用しては競争を煽っていたはずです
なぜならば、後継者は教えて育つものではなくて、ポジションを奪い取る過程において自分と相手の差異を始めて真剣に見つめ合うからです
しかしこういう追い込み方は時としてチームを崩壊させかねません
ワールドカップまであと少し、追い込みもピークの頃におそらく特定のというか他の選手も含めてかなり追い込まれてしまっていて監督への不満を口にしたのかもしれません
でも協会がそれを聞く必要があったのかどうか
それは裁判で明らかになるでしょうからここでは置いときます
とりあえず現代日本のサラリーマンからするとパワハラ案件になりかねないプレッシャーをかけ続けていたのだろうと想像するしかないんですけどね
ハリルホジッチの基本は4ー2ー3ー1、時に両サイドを前にあげて3トップ気味にしたり、下げて4ー4ー2っぽくしたり柔軟に対応できる布陣で、結構採用しているチームも多いのですが
問題はサイドの選手になるわけです
攻撃力があっても守備力がないと使い物になりません
ゲームプランをかんがえてみてください、前半15分までは攻めるけれどあとはしばらく相手の攻撃を受けて休んで、また残り10分で攻撃に転じる
なんていう流れの中で、攻撃に関係ない時間だからと守備しない選手の必要性はどこにもないんです
ハリルホジッチの中で攻撃のオプションは本田なり宇佐美なりを考えていたでしょうが、それは後半に入って点を取りたいと思った時にバランスを崩してでも攻めなきゃいけない時のオプションであり、スタメンでバランスよく攻守に動ける原口を重用し、怪我の具合次第で岡崎を右サイドと考えてはいたでしょうが、それ以外のオプションを一生懸命に探していましたよね
あとチームの心臓部にもなります長谷部の後継者もなかなか育ちません
いろいろなチョイスの中で決定打のないまま親善試合の結果がでないと首にした協会ってなんだろうと思うのですが
結局跡を継いだ西野監督になってもその問題はまったく解決されぬままチームを渡されたわけです
西野監督が引き継いだ時点での日本代表は
攻撃はある程度読めるが守備が読めないチームでした
おそらくハリルホジッチはフランスの自宅でいろいろデータを分析しながら自分なりの構想は練っていたでしょうが、それをガーナ、スイス、パラグアイにぶつけて本番というところで首になってしまったのでそれを聞くことはもう彼の性格上ないのかもしれませんね
ツイッターでもいろいろ書いてますが、ハリルホジッチは本田をメンバーから外すことはなかったと思うのです、しかしスタメンで起用はしなかっただろうとも思うので、今回結局スーパーサブだったのと同じ使い方を想定していたんだと思うので、本田がクビにさせたっていう噂話はあまりよろしくないかと思います
話がそれました
西野監督はAプランはハリルホジッチと同じ4ー2ー3ー1で考えていたようですが、守備的なBプランは4ー4ー2で考えていたようで、というかこれらは自由に変形しますけれど、4ー4ー2で戦った時はBプランだと思っていただくとわかりやすいです
10日間の合宿で最低限守備のお約束事を決めてあとはセットプレーの練習、っていう結局南ア大会に戻るのかと思わせる付け焼き刃ぶりを発揮したわけですが、メンバー発表前の唯一の親善試合で動きの悪いガーナ相手にまさかの0ー2で負けてしまったわけです
この試合で試したかったことはいろいろあるのでしょうが、攻撃も守備もまったく機能しなかったわけです
お先真っ暗な中、おそらく西野監督自身もこれでいいのかわからないままにワールドカップのメンバーを選考し発表をいたしました
結局どうなっても対応できる柔軟なメンバー構成という可もなく不可もないメンバー選出になってしまったのは時間のなさとガーナ戦での不出来によるところが大きいのかと思います
続くスイス戦にて守備的Bプランを試しますがこれもさっぱり機能しません
ワールドカップで他国の試合をご覧いただくと、解説は「ブロック守備」と呼んでいることが多いのですが、後ろ4枚と中盤4枚が等間隔に並んでスペースを消す布陣を取っているのがこのブロック守備ってやつなんですが
日本代表もそれがやりたいのでしょうが、どうしても相手のエースストライカーやゲームメーカーをマンマークしないと怖いのか、しっかりブロックを維持できないのでスペースが出来て、そこを使われちゃうんですね
この辺りは後述します
とにかくどうにも手詰まりの中、パラグアイ戦にてまだ試していないメンバー含めてAプランのテストをしたらなかなかに攻守が噛み合って良い手応えがありまして
ここでの収穫が乾だったわけです
本来であれば右岡崎、左原口で行きたいところ、岡崎がイマイチ怪我の具合がよくなかったのか、原口を右に持ってきて乾を左に置いたわけです
両者とも運動量があり攻守バランスのいい選手なのでこれがかっちりハマったのと、香川の怪我からの復調が見えたのも収穫でしたね
とりあえずこれで戦える前提が整ったというギリギリセーフの状態でなんとか急ごしらえながらロシア版「おれ達のサッカー」完成を見ることができたっぽいわけです
しかし課題も多くありまして、結局乾や原口に変わって、攻撃的なオプションは宇佐美や本田がいますが、このままバランスを維持、もしくは守備的なオプションの選手がいなかったんです、選手層が薄いと言われるところですね
そして何よりカバーリングの神様みたいな存在になってしまった長谷部の交代選手がいないという、チームの心臓部分が動きっぱなしサッカーを展開するしかない状態で、今更メンバー選考やり直すわけにもいかず本場が始まります
コロンビア戦、攻撃はそこそこ通用すると思っておりましたが相手が冒頭いきなり一発レッドカードで10人になってくれたおかげで課題の守備も崩壊することなく、ハメス・ロドリゲスの不調もあってかなり強い勝ち方をしました
これはこれでゲームプランとチーム事情がピッタリマッチした結果なので日本の実力発揮のいい事例となります
セネガル戦でもはやり攻撃は通用します、川島のタイミングの悪いミスさえなければ勝っていた試合かもしれませんが
結果は引き分けに終わってしまいます
いろいろ書きたいところですが省略しますね
そしてポーランド戦で6人スタメンを変えてきました
1つに前線から守備に奔走してきたスタメンの休養、とりわけ長谷部は絶対必要な選手なので休養が必要ですよね
布陣は4ー4ー2、つまり守備的陣形のテストの意味もあったわけで、ここでの出来がもしよければベルギー戦も違った展開が考えられたのですが、実際にはやはり4ー4ー2は機能せず、まともにブロック守備ができないんですね
岡崎の怪我で大迫を使い、先制されたことで乾を使ってしまいましたがグループ突破の可能性があるとみた瞬間に時間稼ぎを指示します
これはもうしょうがないんです、監督としてはゲームプラン崩壊している試合でしたので建て直すのも難しく、武藤に変えて本田かとも思いましたがカード切らなかったということは酒井高徳と香川を変えて武藤右サイドを狙っていたかと思うのですが、決勝トーナメントいけるなら温存したかったんでしょうね
結果としては決勝トーナメント進出が決定し、世界から批判を浴びることになるのですが、これも論点がいろいろ違う記事が多かったんですが
多くのサッカー関係者が批判いていたのは
「まだ自力で決勝トーナメント進出を決められるチャンスがあるのになぜ戦わずに他力本願な指揮をとるんだ?」
ってことです、そのまま相手に関係なく進出が決定する状況でのボール回しなら観客はともかくサッカー関係者があそこまで非難轟々することはなかったかと思います
で、ベルギー戦です
やはりAプランで臨むわけですが、これが見事にハマりまして
後半10分には2ー0となってしまうんです
こんな超展開なかなかないんですが、本当に選手たちは頑張ってくれました
しかしここでベルギーだって黙っちゃいません、2m近い大男フェライニを投入してルカクとフェライニ目掛けてボールをボンボン入れるんです
日本はこういうゴリゴリアタックに弱いんです、すでにルカク1人にマヤも昌子も手一杯なところに大男フェライニ投入で大混乱
しかしやってることはただのパワープレーなのでラインを下げすぎずにこぼれ球を拾われないようにブロックを形成してスペースを消していればそれほど怖くはないレベルの攻撃でしたし、ほとんどの場合はそれで対応できていたのですが、相手も捨て身です
よくわからないまま1点返され、パワープレーで押し切られて2点目を取られ
そんなに怖くない攻撃だと思うのですが慌てふためいていたのはベンチでして
明らかに疲れの見える原口や柴崎を変えられずにいるのです
ここで切るカードには意味を持ちます
攻撃的な選手を入れることで追加点を狙うぞという意図が伝わりますし、守備的な選手を入れることで守り切るぞという意図が伝わるんですが、西野監督はフリーズである現状維持を選択しました
攻守にバランスよく、耐えてチャンスがあったら追加点を狙えという中途半端でサッカー史上もっとも2ー0というスコアがひっくり返されてきた原因ともなる曖昧な意味をもつフリーズです
しかしじゃあ誰を入れる? っていってもカードがないんです
ここで、ポーランド戦で4ー4ー2が機能していたならば、迷わず4ー4ー2に切り替えるべく選手交代をしたでしょうが、4ー4ー2は西野監督にとってやはり信頼できないシステムであり、守備をしたいけれど守備に舵をきれない原因でもありましたし
ここではもう本田や宇佐美という攻撃オプションを行使して攻め込んで、攻め込む時間を増やすことで結果守るみたいなことしか選択肢はないんですが、とはいえ本田や宇佐美の守備が軽薄なのでバランスが崩れること間違い無いんです
個人的にはバランス崩してでも投入してうまいこと主導権を握れればよかったんですが、しかし残り時間も長かったですし、結果は逆転されていたかもしれませんよね
とにかく西野監督には時間も選手層も足りないままにフリーズ
35分に同点に追いつかれて始めてカードを切ったのですが、疲れていた柴崎と原口に変えて山口と本田という、これまたメッセージ的には弱い交代でして
ただ疲れている選手を変えました、という以上でも以下でもないわけですが
本田を投入となって、しかも同点に追いつかれたこともあって一気に日本は残り10分もう1点取るぞモードで突っ走るわけです
ここでしかし、1枚残しちゃっているんですよね
監督としては延長戦もと思ったかもしれませんが、10分で決めるつもりなら宇佐美も同時投入でよかったような気もしますけどね
とにかく攻める日本、本田がシュートに絡み、フリーキックを蹴り、香川も本田の近くでチャンスメイクをして、リズムよく攻めて最後の最後のコーナーキック
状況からして攻めるしかなかった日本は攻めましたが、結果としては見事なカウンターを食らい劇的な逆転負けを喫してしまいました
いろいろ言う人はいるでしょうが、南ア大会やブラジル大会と比べてみてください
攻撃的サッカーで堂々と世界レベルの真剣勝負を戦えたんです
この8年は無駄じゃなく、ブラジルの惨敗ですら糧にしてやっとここまできました
個人的にはもしゴタゴタがなくハリルホジッチ監督が準備万端で臨めたならば、ここまでAプランとBプランに乖離がない状態で戦えていたならば
本当に悔しくて仕方ないです
今回ベテランと呼ばれた選手は南ア大会からお疲れ様でした
今がピークの選手も多く、おそらく次の大会には大きくメンバーが変わって新生日本代表となるでしょうけれど
ワールドカップ以外の代表戦でしのぎを削った経験から、彼ら先輩の良さを吸収していると思います
そういう意味でハリルホジッチ監督が残してくれたものも大きかったと思いますし、彼に対する大変失礼な契約解除は協会が責任を持って対応していただくとして
これで「おれ達のサッカー」は終わるのか、それともさらに進化を続けて本当の意味で形が作れていくのかを楽しみにみていきたいと思います
次のカタール大会ではおじさんもいい年齢になっているのでもう全試合視聴とかしてられないかと思いますが、それなりに楽しませていただきます
あと、今大会の優勝候補は個人的にフランスかクロアチアだと思っております
ああ、今夜も眠れない