日本代表、最後に誇りを守った
ワールドカップの決勝トーナメントでもっとも地味な戦いになるであろう日本対パラグアイ戦
お互いが守備を固める戦術を取っていたのでなんともかんとも展開に乏しいのだが、その中でも地力に勝るパラグアイがしっかりとしたボールキープから何度か決定的なチャンスを作りだして肝を冷やさせていた
後半に入っても似たような展開、日本の決定的チャンスはあまりないままスコアレスで試合が進む
松井に変えて岡崎、ここまでは今まで通り、しかし今まではスコアが早めに動いた試合だったので岡田監督のゲームプランというのがなかなかみえてこなかったわけだ
参考になるのがオランダ戦か、最後まで形を崩さず俊輔や玉田を投入したけどひっくり返せなかったあの試合展開、でも今回はスコアレスのままだからどう動くのかと思っていた
後半30分を過ぎてやっと動く、阿部→中村憲剛
ワールドカップ前、急造仕立ての守備的布陣から本来の自分たちのサッカーに切り替えた瞬間だった
ワールドカップ前に急造した守備的布陣でカメルーン戦に勝って、そのお陰でグループリーグを凌ぎきれたわけだが、そのままで終わったのであればたまたま拾った勝ちのお陰で行けただけじゃんっていう評価で終わっていただろう
岡田監督は98年のフランス大会の時、最後まで守備的布陣のままで終わらせてしまった経緯もある
最近、年を取ったせいかサッカーの見方がどんどん変わっているんだけど、その中でもやはり誇りを持って最後まで戦う姿勢をみえてくれないと、例え勝っても楽しくないと思えるようになってしまっているんだ
余談だが、だから戦う姿勢を前に出すストイコビッチ監督は大好きです
残り15分、どうしても得点が欲しい時に取った戦術、それが急造仕立ての守備的布陣で守りぬくことではなくそれまで自分達がやってきた形に戻すことだったんだ
泣いた
岡田監督批判吹き荒れる中、個人的にはそうは言っても彼らが一番日本サッカーのことを真剣に考えているし理解しているんだからと思っていたけど、でもやはり批判されるのは辛かったのだろう
やろうとしたことがなかなか結果が出ずに仕方なく取った守備的布陣なのだろう
前回のドイツ大会がゴールデンエイジと呼ばれる世代だったと言われるが、個人的にはトゥーリオと中澤という能力の高いセンターバック2枚が揃っている今回大会こそが4バックで戦える唯一の大会だと思っているし、長友や試合には出れなかったが内田のようなサイドバックまで充実していて派手さはないがなかなかに良い選手を揃えているなと期待もしていなかったわけではないんだ
やりたかったサッカーを封印してグループリーグ突破、結果がすべての世界において結果を出すことは重要だけど、やはりどこかにモヤモヤはあったのだろう
決勝トーナメントになればお互い互角の状態から始まる、デンマーク戦のようにどうしても相手が攻めてこなきゃいけない状況にないのだからカウンターなどもできるはずもない
得点を狙うならこちらからも仕掛けなければ行けないんだ、監督の仕事は試合前にその時期がいつなのか、ゲームプランを選手たちに提示し、そしてタイミングを見て試合を動かすことだ
選手たちもがんばった、ほとんど守りの時間ばかりの中で集中して決定的な場面を何度も凌いだ、もし早い時間に失点をしてしまっていたならばゲームプランは崩れてしまう
相手に攻めさせ時折攻撃を加え、スタミナ勝負に持ち込んで足の止まったところで最後に攻める
日本人サッカー選手の特徴はスピードとスタミナである
それを生かした戦術ではあるだろうがとても辛いゲームプランだ、しかしそれをしっかりと遂行していく選手たち
そして中村憲剛投入と共に一気に岡田監督は今までのワールドカップを戦って曲りなりにも結果を出してきていた守備的陣形を破棄し、それまで自分たちが世界に証明してやると言っていた形に戻して足の止まったパラグアイを圧倒し始めたのだ
もしあのまま守備的に残り時間も延長戦も戦っていたならば岡田監督は結果が出ていたシステムを変えられなかった凡将と評さざるを得なかっただろう、しかし岡田監督は決断できる人だった、これだけでもう涙が止まらないんだ
サッカーの結果なんていうのは運の要素も多分になる
問題はそこにいる選手やスタッフ達がどう一生懸命に戦っているかということ
負けたら一緒じゃんなんて簡単に言うのは間違いである、これは戦争でもなんでもないのだから積み上げられそして語り継がれていくことなんだ
日本チームかく戦えり
今まで違和感のあったワントップ本田も、本来の形になればパスもシュートもドリブルも選択できるようになりその良さが生きてくる、手間と人をかけた分厚い攻め、岡田監督最後の意地であり、今まで結果は出してきたぞという選手たちの自信であり、どうしても勝ちたいという日本チームの願いがそこにはあったように思える
結果はPK戦で破れたかもしれない
だがしかしPKを外した駒野君をだれが責められるだろうか
彼は右サイドを何度も上下し、個人的にはちょっと飛び込んでしまいがちな軽い守備だとは思うがそれでも堅い守備に貢献をしてきてもうヘロヘロだったであろう
PK戦なんておまけです、結果は引き分け、あとは次に進むチームを決めるだけのモノ
ジャンケンみたいなものなんだから、そのジャンケンに負けた人を責められるものかと
日本のワールドカップは終了したのでここでまとめておこう
本来強いチームというのはいくつかのオプションを持っている、日本のグループリーグの戦いはそのオプションが一切なく、同じ戦術でただ最後まで戦っていたのだが、最後の最後に攻撃的オプションを使えたということはチームとして良いことだと思う
というか、本来はグループリーグを戦い抜いた守備的陣形の方が本来のオプションなのかもしれないけどね、攻撃的オプションで点が取れていればもっとよかったかもしれない
選手層については前述しているがセンターバックの問題が今後出てくるだろう
今までの日本は3バックの方がしっくりきていた、これは質の高いセンターバックが1人しかいなかったからなんだな
4バックは質の高いセンターバックが2人必要となる、そういう時代は実は守備の日本と呼ばれている時代からなかったんだ
次への課題と言えばもう年齢的に難しいであろう中澤の代わりになるセンターバックと、そしてやはりワントップをきっちりこなせるだけのフォワードではないかと思うんだ
これは何度も書いてきた、本田は本職ではないしそうやって使っても本田自身の良い部分があまり使えないのでもったいないんだ、だからしっかりとポストプレーできるフォワードが必要なのだろうと思うのだ
今回戦った結果を見て、これが日本のこれからの標準的戦い方になるのであれば余計に必要になると思うんだ
とりあえず負けた瞬間の熱い時に書くのはやめようと一晩開けて冷静になった状態で書いたつもり
とにかく選手の皆様、スタッフの皆様、お疲れ様でした
あとは治安の悪い南アフリカからどうか無事で帰ってきてくださいませ
そしてちょっとだけ休養していただいて、今度はJリーグで会いましょう!
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