マクロスフロンティア小説版 第3巻
アナタノオトどくんどくんどくん
聞こえてくるよどくんどくんどくん
まさに題名通りアナタノオトだわな
物語的にはレオン君やグレイスの陰謀が明らかになり始め、そしてフロンティアの状況がどんどん悪くなり、さらにはミシェルが死んでいくという絶望的なお話さ
フォールドしてバジュラの生息圏外に出たはずが美星学園の真下からあふれ出てくるバジュラ
絶望の中でそれでも武器を手にして戦う兵士と、武器を手にしているからこそ襲い掛かるバジュラ
いろいろなすれ違いや誤解がテーマだというマクロスフロンティアには恋も人の生き方にもそれぞれに大小のすれ違いが設定されているわけだが、この巻でそれらが爆発するわけだな
だれもがそれぞれに思いがあってそれがすれ違う、たとえそれが陰謀を張り巡らしている側の人間でも、その陰謀を支持している者であっても、陰謀に振り回されている者にも
恋もなかなか一筋縄ではいかない、すれ違いの連続
「お前の恋はどこにある?!」
クランがミシェルに言ったセリフだが、ある意味名セリフだと思うぜ
アニメ版と小説版は違うと2ch辺りで良く見るが、そうでもないんでないか?と思うんだよね
根底に流れるこのすれ違いの度合いを濃くうまく演出できる媒体が小説であり、歌や動きで表現するのがアニメ版というか
細かい武器とかマクロス史的な話は正直そこまでマニアではないからわからんが、大筋の流れはアニメ版で描かれなかった心理描写をそのまま投影していると思えるのだが、どうだろうか
ちなみにアニメ放送中に物議を醸し出したアルトとシェリルのやった、やってない疑惑
アルトは無口でぶっきらぼうなのでなかなかアニメ版では心情を吐露することができず影の薄い叫んでいるだけのまるで吉田栄作のようなキャラだったわけだが、心理描写を得意とする文字媒体ではその青臭い考え方がよくわかる
改めてこのマクロスフロンティアという作品がアルトという男か女かわからない状態の少年が男になるための物語なんだとわかるわけだ
いろんな人がいるが、ボビーみたいな男なのに女になった人との対比などもあって面白いのだけどね、しかも男臭いオズマと同世代の人物として登場させているわけだ
アルトも一歩間違えばボビーのようになりかねない存在であるという不安定さを出しているわけだ
しかしアルトは男になりたいと思い、四苦八苦しているうちに状況がどんどん変わっていき自分もどんどん変わっていく、矢三郎との歌舞伎の掛け合いでも変わったと言われ変化を主張していたがそれだけではやはり押しが足らない、そして男になる一番のイベントがシェリルとやっちゃって物理的にも男になるということなんだよね
こういう作品に性的なモノを持ち出すなと言われればそうなんだけど、そういう部分を徹底的に省いちゃうと結局少年から大人に変わる瞬間は壊れかけのラジオしか教えてくれないのか?って話しになっちゃうしね
ターゲットが我々おっさん世代だろうから特に反応もなくニマニマするだけのことだが、キャラ萌え的にしか物語を見れない世代にはまだ見るのが早い作品なのかもしれない
キャラ萌えは否定しない、おっさん世代も子供の頃はロボット萌えだったんだ
ガンダムもマクロスも、その作者の思いとか作品全体のテーマなんて関係なく毎回結局派手な戦闘シーンばかりを追っていたのだからね
流行るも流行らないもロボットの格好良さ次第だったしさ
だが昨年から旧ロボットアニメを見直して目からウロコですよと、ガンダムにもマクロスにもこんなメッセージがあったのかとね
だから若者は今すぐ理解しなくてもいいからもうちょっと年取ってから見直せばいいと思うよ、思うよ!
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